私が仕事がら入会している学会(電子情報通信学会・通信ソサイエティー)の季刊誌で、電子書籍に関する特集が組まれていました。
けっこう知らない事が書いてあって面白い特集でした。なので、ちょっとだけ紹介しますね。
まず、電子書籍の先進国といえば、アメリカというイメージがあるのではないかと思います。
Amazonが出している電子書籍端末のKindleも、日本では出ていないのに米国ではかなり人気というニュースも聞こえてきます。
しかし、2010年度の電子書籍の売り上げを見ると、なんと日本のほうが高いんだそうです。
具体的な数字では、アメリカは4.41億ドル、つまり約350億円。それに対して日本では約650億円だそうです。意外じゃないですか?
・・・ただ、これには特殊事情があって、日本の場合、実に88%がケータイ向けの電子書籍であり、そのほとんどがコミックなのだそうです。
米国の場合、ふつうの書籍の電子版が主流のようで、ここに明らかにお国柄の違い(というか日本の特殊な状況)が見えますね。
ちなみに日本では、コミックの中でも特に売れているのがアダルト系の作品(過激なエッチ描写の青年マンガやBL(ボーイズ・ラブ)系レディコミ)なのだそうです。
書店ではずかしい思いをせずに買えてしまうから、アダルトコンテンツってこういう売り方に向いてますもんね。
ちなみにふと思い出しましたが、昔とある女友達が、ツタヤの宅配レンタルの配送センターでアルバイトをしたときの話を聞かせてくれました。
そこで貸し出されていたソフトのうち、かなりの割合がいわゆるアダルトビデオ(わざわざピンクにすな!)だったそうです。
「男ってほんとイヤだと思った!」
と言ってましたね~
・・・話がそれました(笑)
日本でもiPadが売れて、さらにAmazonのKindleも発売されるのではないかと言われ、出版業界の中でも電子書籍の販売が広がっています。
日本でもだんだんと、マンガ主体、携帯主体から、一般書籍の電子化という方向へシフトが進んでいくでしょう。
それからもう1つ、日本では既に電子書籍を貸し出すサービスをしている公共図書館があるんだそうですね。
中でも一番進んでいるのが、東京都千代田区の区立図書館。
ここは2007年から「千代田Web図書館」と題して、日本で初めてネット上で電子書籍を貸し出すサービスを開始したのだそうです。もちろん今もやっています。
このサービスを利用するには、あらかじめ自分のパソコンに閲覧用のソフトを特別なインストールしておく必要があります。
Webにアクセスして、書籍リストから借りたい本を選ぶと、手元のパソコンの閲覧ソフトの中でその電子書籍を開いて読めるのだそうです。
著作権の関係で、印刷やコピーはできませんが、閲覧ソフトの中でメモや線引きができて、一度返却して同じ本を再度借りるとその人のパソコン上ではメモが残る仕組みになっているそうです。
そんなサービスが利用できるならぜひ私も使ってみたい!と思ったんですが、千代田区で住むか、働くか、通学している人だけが使えるようで、私は利用できないようでした。
ところで、千代田区の図書館がこんなサービスを全国に先駆けて行なっている理由が、またちょっと面白いです。
広報の方の説明によると、千代田区の図書館は、当然ながら千代田区の施設だから、区内の人に使ってもらいやすい図書館にしたいと考えているとのこと。
ただ、千代田区は区内在住者の人口(いわゆる夜間人口)が48,000人程度であるのに対し、昼間に働きにきている人が約85万人(!)もいるという街です。
だから、ビジネスパーソンに利用されやすい運用をしないといけない。
そこで、たとえば図書館が平日夜10時まで開けるなど、いろいろな工夫をしているそうです。
そうした工夫の一環として、電子書籍のWeb図書館というサービスがあるとのこと。なるほど納得です。
2012年に入り、大阪市の図書館でも、ごく限られたラインナップですが電子書籍の貸し出しが始まっていますし、国立国会図書館でも昔の史料の一部がインターネットで閲覧できるサービスが始まっています。
今後10年くらいのうちに、全国各地の図書館でも、電子書籍の貸し出しが広く行なわれる時代が来るんじゃないでしょうか?
ちなみに私は、ケータイでマンガのサンプルを読んだことがあるくらいで、電子書籍は未経験。
その理由の1つは、主流のファイル形式が何になるかわからず、買ってもすぐ読めなくなるリスクがイヤだから。
貧乏性のせいか、一回買ったものはいつでも自由に見られないと気が済まないんです(笑)