突然ですが、皆さんは音楽のクラシックって、聴くことがありますか?
私は昔から音楽全般が好きだったんですが、クラシックにははっきり言って興味がわきませんでした。
「堅苦しい」「お高くとまった感じが好きになれない」とか、理由はいろいろでしたが、なんかクラシックに反発するのがカッコいいみたいな、妙な反発心があったと思います。
あと、「音量が大きい部分と小さい部分の差が大きくてイヤ」っていう理由もありました(笑) 小さい部分はiPodで街中で聴いてると聞こえないし、かといって音量をあげるといきなり「ジャン!!」と大音響になって驚かされたりするし。
そんな私ですが、たまたま1000円で買える安いクラシックのCDを何枚か買ったところから、クラシックにハマってしまいました。
いまや、好きな曲に関しては複数の演奏を聴き比べるほどのマニア予備軍です(^^;
クラシック音楽について、「楽しみ方がわかんないんだよな~、もうちょっと親しみやすく、敷居を下げてくれないかな~」と感じている人は、私以外にも多いんじゃないでしょうか?
この件に関して、最近読んだ本に少し面白いことが書いてありました:
茂木氏は、マンガ「のだめカンタービレ」のドラマや映画の音楽監修をしていて、気楽な雰囲気の音楽エッセイも多数書いている人です。
言って見れば、クラシックの敷居を下げるために活躍してきた方と言えますが、茂木氏はこの本の中でこう書いています:
「よく、クラシック音楽は敷居が高い、それを下げてれくてありがとう、とか感謝されることがあるのだが、あまり自覚がない。自分の考えでは、『その敷居の高さこそがクラシック音楽の魅力だ』と思っているのである」
茂木氏は、作品の味わい方という面で、一流レストランの料理とクラシック音楽(のコンサート)が似ていると指摘しています。
選び抜かれた食材(楽曲)を、一流シェフたち(指揮者、演奏者)が命がけで腕をふるい、提供する。空気や視覚までも含めた時間全体が価値ある楽しみになる。
そうした場を楽しむには、ある程度のお値段、他人に迷惑をかけないマナーが必要になる。また、何も知らなくても楽しめるが、料理(音楽)に知識があればあるほど深く楽しめる。
かつて敷居の高さから苦手意識を持っていた私としては、「敷居の高さこそ魅力」と言われると、「なるほど、そういう考え方もあるのか」とちょっと感心してしまいました。
この本を読んで、日テレの深夜番組「先輩 ROCK YOU」に、バレエダンサーの熊川哲也が出演したときのことを思い出しました。
この番組は、加藤浩二たち若手芸能人3人が、いろいろな分野で活躍する先輩たちを呼んで、そのすごさを見せてもらうという内容で、とても面白い番組です。
熊川氏はこの番組の中で、(記憶がおぼろげですが)だいたいこんな感じのことを発言していました:
「バレエは敷居が高いと言われるが、
観客に媚びてやることのレベルを下げる気はない。
しかし本気でやれば、万人にバレエの魅力は伝わるはずだと信じている」
いまの世の中、何事についても「簡単にわかりやすく」ということが好まれます。
しかしそれをやり過ぎてしまうと、練りに練った表現への感動が浅くなりかねないし、受け手の感性や能力も鈍ってくるかもしれないと思います。
もちろん、「わかる人にはわかる」と言って新しい人を引き付ける努力をしないと、その分野は衰退してしまいます。
そこのバランスは難しいと思いますが、「媚びて安易なものに流れるな」ということ、そして「本気の表現は必ず伝わる」という信念には、とても共感するものがありました。
というわけで、「敷居の高さ」について少し思いを巡らせながら読んだ本、「拍手のルール」でした。
どちらかというと、クラシックの完全初心者の人より、少し聴いたけどよくわからなくて・・・という方に向いている本だと思います。
コンサートでの拍手の分類や暗黙のルール集、調(ハ長調とかニ短調とか)ごとの曲の印象の比較など、面白い内容が満載の本なんですが、文の雰囲気が人を選ぶかもしれません。
茂木氏は自分を「もぎぎ」などと呼んだり、寒めのギャグを連発したりするからです。
ま、私も人のこと言えませんけど(笑)