クラシック 音楽

宗教の枠を超えた祈りの音楽・・・クリュイタンス指揮 『フォーレ:レクイエム』

今日は、数あるクラシック音楽の中でも、私の中でベスト10に入るこちらの名曲、ガブリエル・フォーレ作曲の『レクイエム』 について書きたいと思います。

レクイエムというのは、キリスト教(カトリック)の死者を弔うミサで歌われる合唱曲です。「鎮魂歌」という訳を当てられることもありますね。

キリエ、サンクトゥス、アニュス・デイなどといったいくつかのパートから成っていて、それぞれに決まった歌詞を持っています。

元々は宗教上の儀式の歌なわけですが、クラシックの作曲家の多くもレクイエムの歌詞へ曲をつけています。

 

クラシックの世界で、いわゆる「3大レクイエム」と言われるのが、モーツァルト、ヴェルディ、そしてフォーレの作品です。

そのうち、私がダントツで好きなのは、フォーレの作品です。

フォーレは19世紀に活躍したフランスの作曲家で、主にピアノやヴァイオリンなどの室内楽や宗教曲の分野で、多くの傑作を書き遺しました。

レクイエムは、フォーレの作品の中でおそらくもっとも有名で、もっとも人気の高い曲です。

では、全7楽章から成るフォーレのレクイエムのうち、特に美しい最終楽章の「イン・パラディム(楽園にて)」の映像をどうぞ!

(NHKの番組の映像でしょうか?)

式は日本ともゆかりが深いスイス出身の名指揮者、シャルル・デュトワです。

 

 

ああ、なんて穏やかな、素敵な音楽なんでしょうか! まるで天上から降ってくるかのような調べです。

静かなオルガンの響きに導かれるようにはじまり、やがて空間に溶け込むように消えて行く歌声は、果てしなく美しく、包容力にあふれています。

三大レクイエムの1つ、ヴェルディのレクイエムなんかは、死への恐怖と抵抗を表わすような、激しくアップダウンが多い劇的な音楽です。まるでオペラのようです (私はずばり苦手^^;)

それに比べると、フォーレのレクイエムは、死をおだやかに受け容れる雰囲気にあふれています。

私はクリスチャンではないですが、この曲を聴いていると、何か大きな存在に包まれ、苦しみも悲しみもすーーっと消えていくような感覚を覚えます。

キリスト教という枠を超えて、ぜひ多くの人に聴いて欲しい作品です。

 

さて、私がはじめてこの曲を聴いたのは、このCDででした。

 

『フォーレ:レクイエム』
コルボ指揮、ベルン交響楽団、クレマン(アラン), サン=ピエール=オ=リアン・ドゥ・ビュール聖歌隊、フィリップ・フッテンロッハー
ワーナークラシック
1972年録音

 

3年くらい前に何となくクラシック音楽を聴き始めた私は、何から聴いていいかわからなかったので、

 

「ワーナーが安い名曲シリーズ(ワーナークラシックベスト100)を

出しているらしいな。 よし、全制覇してみよう!

 

といきなり高い目標を立てました(笑)

以来、ワーナーのベスト100をちょこちょこ買っては聴いていたんですが、その中の1枚がコレだったんです。

その当時は、出会ったタイミングが悪かったからか、特にこれといって強い印象を受けませんでした。

ところが、わりと最近にレンタルしたこちらのCDを聴いて、この曲の魅力にズボッとはまってしまったんです。

 

『フォーレ:レクイエム』
クリュイタンス指揮、パリ音楽院管弦楽団、エリザベート・ブラッスール合唱団、アンヘレス、ディースカウ
EMIクラシックス
1962年録音

 

前者のコルボ盤は、透き通ったような美しさ、どこまでも穏やかな雰囲気が印象的な演奏で、多くの人に支持されている名盤です。

でも、個人的には後者のクリュイタンス指揮のほうが好きです。楽曲自体がもつ透明感を大事にしながらも、祈りの切実さのようなものも感じさせてくれます。

すこし古い録音ではありますが、おすすめです。

 

ちなみに、クリュイタンス盤を聴いて自然にこんな感想が浮かびました。

 

「ああ、自分のお葬式ではこの曲をかけて送り出してほしいなあ・・・」

 

そのあとでネットを見てみると、実は 同じことを思っている人がわんさかいる ということがわかりました(笑)

そうだよなあ、この曲聴いたらそう思っちゃうよなあ~

 

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