クルマ 最近読んだ本

『奇跡の軽自動車 ホンダはなぜナンバーワンになれたのか』 by 片山修

最近、うちの太郎(2歳7か月)の「自動車熱」がますますスゴいことになってきました。

太郎は物心ついた頃からクルマが大好きで、家でもトミカなどのミニカーでばかり遊んでいました。

ところが最近は、近所のおうちの駐車スペースに止まっている車や、道路ですれ違ったりする車の車種をさかんに尋ねてくるようになりました。

「これ何ていうの? これ」

「あれは?」

「これ、かっこいいね~」

私は仕事で自動車メーカーさんと接することも多いんですが、もともと車に興味など無く(いいのか?)、パっと見て名前がわかる車なんてトヨタのプリウスくらいしか無いというありさまでした。

それに、つい1年前までペーパードライバーだったし・・

そんな私も、太郎に聞かれるたびにちょっとずつ車の名前を調べて、覚えるようになりました。

そして今では街中でよく見かける車に関してはパッと見て名前がわかるまでに・・・。太郎のおかげで新しい世界が開けたなあって感じです(大げさか)

太郎は私よりもすごいところがあって、私でさえ見分けるのが難しいトヨタの 「プリウスα」 と 「アクア」 を遠目で瞬時に判別するなど、たいした能力を発揮してます。

いったいどこで見分けているのかと、ほんとに感心してしまいます。

 

さてさて、そんな太郎がトミカの中で最近気に入っているのが、トヨタのプリウスと、ホンダのN BOXです。

N BOX って、知ってますか?

「New Next Nipponの Norimono」 というキャッチコピーのテレビCMでおなじみの、広い室内空間にこだわった軽自動車です。

これまで日本国内の軽自動車市場は、ダイハツとスズキの2強が席巻していました。ところがホンダのこのN BOXは、2012年度になんと軽で売上ナンバーワンを記録し、業界の話題をさらった驚きの一台です。

これに関するとても面白い本を読みました。


奇跡の軽自動車  ホンダはなぜナンバーワンになれたのか
片山修:著
PHPビジネス新書

この本では、それまで軽自動車をそれほど重視して来なかったホンダが、なぜ軽自動車に心血を注ぎ込むことになったのか、NBOXの企画、開発、販売にどのような工夫があったかを、わかりやすく教えてくれる一冊です。

軽自動車という、どちらかというと普通乗用車に比べて地味な商品の可能性に着目、いろいろな課題を見つけ出してそれに大胆に切り込んでいく様子は、とにかくスリリングです!

技術者ならなおのこと楽しめると思いますが、そうでない方でも、自分のビジネスを見つめなおすヒントがたくさん得られる面白い本だと思います。

 

技術者の自分にとっては、N BOXのウリである室内空間を広くとるということに関する技術的なチャレンジの話が、面白かったです。

軽自動車は、法規によって排気量や車の全長、高さ、幅が厳しく制限されています。

普通の乗用車なら、室内空間を広く取りたければ、「サイズを大きくしちゃえ」という手が使えますが、軽だとそれが法律上できない!

N BOX以前に世に出た軽自動車でも、当然ながら室内空間を広くする工夫はいろいろやられていたわけです。

その状況において、大胆な発想と地道な検討の積み重ねで、今までの限界を超える設計を産み出した・・・こういう話を聞いてると、技術者魂みたいなものに火がついちゃいますね~

ここで面白いのは、N BOXの開発責任者である浅木泰昭氏が、もともとF1黄金期を支えたエンジン技術者であるということです。

F1と軽ではまったく指向が違う分野に思えますが、浅木氏はこれについて意外な共通点を指摘しています:

F1には、競技規約や技術規約を定めるレギュレーションがある。独り勝ちを防ぐため、レギュレーションは毎年変更される。だから、F1エンジンの開発は、レギュレーションとの闘いだ。毎年の変更にどう対応するか。それが、レースに勝つための条件である。 「軽も同じです」  と、浅木は断言する。

浅木氏 「軽は、外寸や排気量というレギュレーションに縛られています。登録車(普通車)であれば、室内を広くしたい場合、車体そのものをでかくすればいい。  しかし、軽では、無闇にそれができません。レギュレーションのなかで、同じ条件で競争するからこそ、技術の差が出る。である以上、技術でもって室内を広くすればいいんです」

自動車の花形であるエンジン屋から、ある意味傍流とも言えそうな軽への転身。それでも腐ることなく、前職で得た経験をなんとか活かしてやろうとする、その心意気と着眼点。見習いたいですね~。

 

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