新米パパの小さな発見手帳

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怒りのコントロールが大切な時代です: 『パワハラ防止のためのアンガーマネジメント入門』 by 小林浩志

      2014/12/17

10年くらい前にはあまり耳にしなかった「パワハラ」という言葉が、最近ではすっかり世の中に認知されるようになってきました。

パワハラ=パワーハラスメントとは、社会的に強い立場の人間が、常識的な範囲を超える厳しい指導・接し方をすることで、相手に肉体的・精神的なダメージを与えてしまう問題行為のこと。

ある調査(出典を忘れてしまいました)によると、企業におけるハラスメント(嫌がらせ)行為に関する相談件数で、つい最近、パワハラがセクハラを上回ったそうです。

 

先週、わたしの会社で人権啓発に関する研修があったんですけど、その中でも「パワハラに気を付けよう」ということをしきりに言われました。

かくいう私も、まわりからは温厚に見られることが多いんですが、仕事で追い込まれるとつい部下のミスに対して苛立ちが表に出てしまうことがあります。

パワハラは、やっている本人に自覚が無いことも多いそうで、問題を起こしたあとで「この程度なら大丈夫だと思った」とか「本人のために良かれと思って厳しくしたのに」と語る人も多いのだといいます(言い訳という面もあるでしょうけど)

だから私も、次第に成果を厳しく求められるようになっていく中で、気づかないうちにパワハラと取られる行為をしてしまうかもしれない、というふうに感じています。

 

というわけで、私はパワハラというテーマに関して最近かなり関心を持っているんですが、このテーマに関するとても面白そうな本があったので読んでみました。

著者の小林氏は、日本アンガーマネジメント協会という団体が認定するファシリテーターで、怒りとうまく付き合うコツを企業や団体向けに講演したり、研修を行ったりしている方だそうです。

 

 

『パワハラ防止のための アンガーマネジメント入門
怒り、イライラのコントロールで、職場は変わる! 成果が上がる!』
著者: 小林浩志
出版: 東洋経済新報社
2014年2月14日

 

 

「アンガーマネジメント」とは耳慣れない言葉ですね。直訳すると「怒りの管理」ですが、つまり怒りの感情とうまくつきあうことだそうです。

注意したいのは、怒りの感情を否定するものではないということです。「喜怒哀楽」というように、怒りは人間の自然な感情の1つで、脅威から身を守るために重要ですし、奮起して問題点を克服するための原動力にもなります。

ただ、それを後先考えずに爆発させないないことが大事だ、ということです。

 

この本では、まず企業におけるパワハラ問題の実態と実例が紹介されています。パワハラ問題が増えていて、かなり大きな社会問題となっていること、そしてひとたび問題が起こると当事者も会社も社会も不幸になるということがわかります。

そして、パワハラは「怒り」の感情を後先考えずに爆発させてしまうことが原因と言え、怒りの感情を理解してうまく飼いならすこと=アンガーマネジメントが大事であることが説かれます。

怒りの感情のメカニズム、それを暴発させないための具体的なコツや考え方もたくさん書かれていて、とてもおもしろくて役に立つ一冊です。

 

 

興味深かったのが、NHKの『あさイチ』という情報番組で取り上げられたアンケート結果の話です。

この番組では、視聴者に対して「あなたのイライラの原因は?」と尋ねたそうです。その結果、1位が「子ども」、2位が「夫」だったというのです(なんだか世知辛い結果ですね。苦笑)

この結果について、小林氏は

これは、怒りの感情が「身近なところへ向かいやすい」という性質を表しています

とコメントしています。そして、

怒りが身近なところへ向かいやすい理由は、「身近なところにいる人は、コントロールしやすい」という思い込みがあるから

と言います。

この指摘にはハッとしました。

「子どもは、私の期待するように振る舞ってくれるものだ」 「運命の人であれば○○してくれて当然だ」 といった考え方は、多くの人が無意識のうちに陥っているものじゃないかと思います。こうした考えは、相手が期待したとおりに振る舞ってくれない場合に、「そうしないあなたはおかしい!」という怒りに簡単に変換されてしまいます。

怒りの原因にもいろいろありますが、「思い通りにいかない」というストレスはかなり大きな部分を占めているんじゃないかと思います。

私たち夫婦も、結婚からしばらくの間はこの罠にはまって、今から考えるとささいなことが大ゲンカに発展したことが何度かあります・・・(^^;

 

アンガーマネジメントでは「他人を変える」ことを目指さず「自分自身を変える」ことを指向すると著者は説きます。

別に「他人を変えようとしても無駄」ということではなくて、「他人が思い通りになることを前提とせずに、自分の行動や考え方を変えることで、余計な怒りをため込まないようにしよう」ということです。

世の中がいっそう標準化、分業化、自動化、IT化していく中で、「思ったとおりのリアクションを期待する」傾向は強まり続けていくでしょう。それはある意味、「期待どおりにいかない怒り」のリスクが増えるということでもあると思います。

アンガーマネジメントに特効薬はないでしょうけど、こうした怒りのメカニズムを理解すること、そして「自分のとらえかた」を変えてみること、これを意識するだけで、少しは怒りの爆発による不幸を防げる気がします。

 

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