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【本】辛口の論理思考エッセイ・・・荒井裕樹『プロの論理力!』

皆さんは、「論理的に考える」ことは得意ですか?

私ははっきり言って苦手です。

それは、このブログのいまいち締まらない文章や、焦点の定まらなさを見てもらえば、なんとなくわかると思います(笑)

一応、仕事が技術職なので、もうちょっと理詰め理詰めで考えられるようになりたいなあと思うんですけ。

だけど面倒くさがりな性格もあって、議論になるとすぐにボロを出してしまうタイプの私です。

そんなわけで、「論理的な話し方」みたいな本があると、ついつい読みたくなってしまうんですよね~(^^;

今日は、ついさっき読み終わった本を少し紹介しますね。

 

書名: プロの論理力!
トップ弁護士に学ぶ、相手を納得させる技術
著者: 荒井裕樹
出版: 祥伝社黄金文庫

 

この本は、若手の敏腕弁護士の著者が、弁護士としての仕事を通じて考えてきた「論理力」の重要性や、論理的に考えるコツについて書いた本です。

論理思考とかロジカルシンキングというと、いわゆる経営コンサルタントの人が書いた本がほとんどだと思います。そんな中、弁護士が書いた本書は、なかなかに異彩を放っています。

 

さて、本の中身ですが、論理思考のノウハウが体系だてて書いてあるというよりは、著者の体験に基づいたエッセイのような内容になっています。

あたり前の内容も多いんですが、その中にもいろいろと新しい発見がありました。

たとえば、こんなタイトルの本ですから「理詰め万歳! 何事も論理で押し通せ!」という主張が書いてあるように想像していたんですが、著者は「物事は何でも論理で攻めればいいわけではない」と言います。

世の中の問題には、理屈で押し通せる事柄(論理力でコントロールできること)と、そうでないものがある。だからその違いを見極めて、理屈で押しとおせる事柄に論理思考を集中させるべし、と言います。

たとえば、他人が持っている好き嫌いの感情や偏見、景気の良し悪しなんかは、基本的には一個人や普通の企業が直接変えられることではありませんよね。

だからそれを正面切って論理で解決しようとしても効果は薄い。したがって、自分のコントロールできる範囲で徹底的に論理的な打ち手を講じるべき、ということです。

言いかえれば、「考えてしょうがないこと」は置いておいて、「考えてしょうがあること」に考えを集中させろということですね。これはまったくもってその通りですよね。

ただ、何が「考えてしょうがあること」なのかの見極め・・・これこそが難しいんですよね。

それについての荒井氏の回答は、情報を徹底的に集めて問題の全体像を描くこと、だそうです。原則論としてはよくわかります。けれどもう一歩、具体的な経験に基づくヒントやノウハウが欲しかったです。

 

他になるほどと思ったことをメモしておきます。

 

・論理力を十分に引き出すためには、「野心」が必要である。
(熱意、高い目標の達成意欲、など)

・交渉における「勝利」とは、相手を完膚なきまでに論破することではなく、
こちらの希望する結論で双方が「合意」することだ。
だとすれば、目指すのは相手を「説得」することではなく、こちらの言う
ことを相手に「納得」してもらうことだろう。

・交渉においては、ゴールの設定が極めて重要である。意気込んで達成
不可能な高い目標を設定してはいけない。

・交渉では「相手に言質を取られない」ことがきわめて重要。焦ってその場
しのぎの返答を返すと墓穴を掘る。じっくり考えることも重要。

 

こうして改めて振り返ると、論理力というより、交渉ごとに関するヒントが多く書かれた本だという気がします。

この本は、字が大きいし、文章も平易で読みやすいので、気軽な論理思考エッセイとして楽しめる一冊だと思います。

読もうと思った方に1つ注意点を挙げると、著者の荒井氏の文体は何かにつけて挑発的です。

また、自慢話に聴こえる部分が多いです。

本書の中で何度となく書かれているのですが、荒井氏の中には「既得権益や集団の論理でなく、個人の力で未来を切り開ける世の中にしたい」という想いが強くあるようです。

その実現のためにわざと挑発的に振る舞っている、またはあり余る情熱と才気がほとばしり出てしまった・・・著者の辛口の理由はそんなところだと思います。決して「嫌な人」ではないでしょう。

しかし、Amazonのレビューページをちょっと見てみたところ、案の定、賛否両論キッパリ分かれていて、特に「否」の人の反感ぶりがもの凄いです^^

なので、著者の文体や自慢話にいちいちつっかからず、参考になる部分だけいただこうかな、くらいの軽い気持ちで読むといいと思います(笑)

 

 

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