ゲーム

おやじのコントローラー

昨日、実家で半年ぶりくらいに父に会ったので、昔の父との思い出をひとつ。

 

「ファミコン」が私の家にやってきたのは、私が小学校一年か二年のクリスマスでした。

本体と同時に「スーパーマリオブラザーズ」を買ってきたはずなので、確か1985年だったと思います。(←スーマリは1985年発売なので)

 

それまで私は、ファミコンのファの字も知らない子どもでした。親にゲーム機をねだったことなどありませんでした。

それなのにうちのオヤジ(父)は、クリスマスの日に、頼みもしないのに勝手にファミコンを買ってきたのです。

当時はテレビゲームは今ほどメジャーな娯楽ではなく、「こんなもので遊んでいたら子どもがダメになる!」と世の親たちが不審感をあらわにしていた時代でした。

それなのに、自分からすすんでファミコンを買ってくるとは、うちのオヤジは一体なにを考えてたんだろうと思っちゃいます(笑)

 

さて、自分で買った割にはほとんどゲームをしなかったうちのオヤジ。

だけど休日に、ごくたま~に麻雀のゲームを遊んだりしていました。

私は麻雀のルールなんて全然知らなかったので、横からゲームを見ていてもまったく訳がわかりません。

麻雀自体のおもしろさは、全く理解してなかったんです。

でも、いつも「ほら  もうゲームやめろ!」と言ってくるオヤジが、たまにコントローラーを握っているその姿を見ているだけで、なぜか妙に嬉しかったのを覚えています。

 

しかし、ここで一つ問題が!

私は、オヤジが遊んだ後にファミコンをやるのが すっごく嫌だったのです。

なぜかというと、オヤジが遊んだあとのコントローラーは

なんだかすごく脂ギッシュでヌメヌメするから です(笑)

しかもにおいをかいでみるとなんかクサい!

 

これは困った! こんな気持ち悪い物、さわりたくないよう!

でもゲームはやりたいし・・・どうしようどうしよう・・・

という気持ちだったんですけど、結局はゲームをやりたい欲求に負け、私は不快な気分でその「ヌメヌメコントローラー」、略して「ヌメコン」を握ったのでした。

 

しかし時が流れて大学生になったある日・・・

プレイステーションで遊んでいた私は、ふと気づきました。

 

なんかこのコントローラー、ぬめぬめしてるぞ、と!(笑)

 

そしてにおいをかいでみて思いました。

 

こりゃあ、オヤジ使用済のコントローラーのにおいだ、と!!

 

これは衝撃的でした。

それまで私は、においや脂っけというものに抵抗があって、自分はそんなものを発していると認めたくない、自分はまだオトナじゃない、というような気持ちがありました。

けれども、プレステのコントローラーは私に「お前ももう子どもではないんだ! ピーターパンではいられないのだ!」という厳しい無言のメッセージをつきつけていたのでした。

そういえば昔、テレビで関根勤が「おれの身体って自分の親父のにおいがするなあと思ったとき、自分がオトナになったと感じた」みたいな事を話していました。大学生になった私は、ようやく彼の言葉の意味を痛いほど理解したのでした(笑)

 

そんなヌメヌメだった父も、60を過ぎた今は、すっかり手がカサカサになってきてます。

最近はゲームなどまったくやらないようですが、やったとしたら きっと「ヌメコン」にならないと思います。

「ヌメコンを嫌がっていたあの日はもう二度と戻らないんだな」と思うと、時の流れを感じてなんとなく切ない気持ちになります (^^;

 

 

追伸。臭い臭い言うてますが、決して私はフケツな男ではございませんので、そこのところよろしくお願いします(笑)

 

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