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心ざわつく夜にそっとより添ってくれるピアノソロ・・・ 『A Melody at Night, With You』 by キース・ジャレット

金曜恒例のお気に入り音楽コーナー!

今回紹介したいのは、キース・ジャレット(Keith Jarrett)のピアノソロアルバム、 『A Melody at Night,  With You』 です。

 

『A Melody at Night, With You』
Keith Jarrett
Ecm Records
1999年リリース

 

キース・ジャレットはジャズ・ピアニストですが、クラシック音楽のピアノ曲を多数録音するなど、狭い意味でのジャズにとらわれない、幅広い演奏活動をしてきた人です。

特に1998年に録音されたこのアルバムは、ジャズだの何だのという話がどうでもよくなるほど、もうとにかく美しいのひと言です!

 

自宅のスタジオで録音されただけあって、このアルバムでのキースの演奏ぶりは、肩ひじ張らないとても良い雰囲気。

聴いていると、まるでキースがひょこっと自分の家にやって来て、「よお、元気か」とか言いながら(笑) おもむろにピアノを弾き始めたかのような、そんな親密さを感じます。

そして音の揺らぎや緩急、うねりといったものの1つ1つが、キースとピアノとの真摯で密やかな対話を思わせ、静かなアルバムでありながら聴き手をまったく飽きさせません。

私は、 少し疲れたりイヤな事があって心がささくれ立った日の夜なんかにこのアルバムをかけると、心の奥底にじんわり人間らしい優しさが帰ってくるような、そんな気分になります。

ピアノを愛する人、いや、音楽を愛するすべての人に聴いて欲しい、私の大好きな一枚です。

 

このアルバムの魅力を言葉で伝えるには限界があるので、演奏の映像をどうぞ!

アルバムの1曲目、「I Loves You Porgy」 のライブパフォーマンス映像です♪

 

 

実は私も最近調べて知ったことなのですが、キース・ジャレットは1996年ごろ、突如身体に猛烈なだるさを感じ、「慢性疲労症候群」という難病の診断を受けたのだそうです。

この病気は、単に疲れがたまりやすいというレベルのものではなく、キースは演奏はおろか、日常生活にも支障をきたすほど深刻な状況に陥りました。

このアルバムは、病からなんとかピアノが弾ける程度に回復した頃に収録されたもので、苦しむ彼を献身的に支え続けた妻・ローズに捧げられました。

単に静かで美しいだけでなく、なんとも狂おしい情念を感じるキースの演奏には、そういう背景があったんですね。

 

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