今日は、私がいま一番ハマっているクラシックの曲を紹介したいと思います。と言っても、一般的な「クラシック音楽」とは時代もイメージも違う曲なんですけどね。
それは、ニコライ・カプースチン作曲の『8つの演奏会用エチュード(作品40)』です。まずは下の動画をどうぞ! 全8曲から成る作品の1曲目、Prelude です。
カプースチンはあまり知名度の高い作曲家ではないですが、最近かなりいろいろなピアニストが演奏していて、この動画で演奏しているは有名な辻井伸行です。
いやあ、何度聴いてもかっこいいわぁ!(笑)
こんな感じで、カプースチンのピアノ曲の大きな特徴は、ジャズ的な和音や旋律をクラシックに取り入れていることなんですね。
ガーシュウィンやラヴェルといった作曲家もジャズの要素を取り入れてますが、それより後の世代であるカプースチンの曲は やはりもっとずっと現代的で、クラシックを聴かない人にも通じる魅力があると思います。
華麗な旋律が高速で繰り出されるこの快感・・・これはジャズというより、むしろテクノやトランスなどの電子音楽の快感に近い気がします。ゲーム音楽やアニメの曲が好きな人にも、けっこうヒットするんじゃないかな。
もう1つ、3曲目の Toccatina の動画も紹介しますね。
さて、作曲者のカプースチンはどんな人なのでしょうか?
彼は1937年にウクライナで生まれた人です。まだ国としてはソビエト連邦と言われていた頃ですね。
音楽に才能を示したカプースチンはモスクワ音楽院へ進学。そこでピアノを本格的に学ぶなかでジャズと出会い、強い関心を持つようになります。
彼が音楽院に在籍した1950年代後半~60年代初頭といえば、ソ連がアメリカやヨーロッパと激しく対立する「冷戦」時代の真っただ中。そんな時期に、仮想敵国であるアメリカ生まれのジャズに惹かれるなんて、不思議な運命の巡りあわせだな~と思います。
その後カプースチンは多数のピアノ関連の作品を多数作りながら、自らもピアニストとして自作自演の録音を残してきました。2010年代に入っても作品を発表していて、いまなおご存命だそうです。
この『8つの演奏会用エチュード』の録音はいくつか出てますが、私の持っているのはこのCDです。
作曲者であるカプースチン自らの演奏で、彼の意図がもっとも忠実に反映された録音だと思われます↓
『カプースチン:8つの演奏会用エチュード』
演奏 : ニコライ・カプースチン (pf)
レーベル: オクタヴィア・レコード
リリース: 2014年11月17日
ついつい弾き手が技術の高さを見せびらかしたくなりそうな曲ですが、カプースチンは過剰なアピールはせず、ある意味淡々とした演奏を繰り広げています。しかしそのことが逆に楽曲が持つメカニカルな魅力を際立たせていて、スリリングな演奏になっていると思います。