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RPAの楽しさを知らせてくれる良書 無料ツールで試せるのも◎ 『RPAのはじめかた』 by カワサキタカシ

自分で試すためのガイドが少ない、RPA の世界

ここ1年くらいで、ビジネスニュースでよく耳にするようになったIT関連の用語「RPA」って、聞いたことありますか?

私はソフトウェア会社で仕事をしていますが、AI や RPA みたいな今はやりの華々しい世界とはまったく縁がなく、「言葉のだいたいの意味はわかるが具体的なイメージがさっぱりわかない」というレベルの理解度です。

技術の理解を深めるには、実際にさわってみるのが一番だと思うんですが、ネット上の細切れの情報を見ても初心者がRPAをちょっと試したい場合に どうすればいいかがよくわかりませんでした。

それじゃあということで本を探してみたんですが、ビジネス寄りの解説本(宣伝本や煽り本も多い・・・笑)や、システム開発者向けの高度な技術書はありますが、入門者が実際に技術(RPAのソフト)に触れてみるためのガイドとして書かれた本が、非常に少ない。

ちょっと前に取り上げたスマートスピーカーもそうですが、まだ新しい技術なので変化のスピードがものすごく早く、スタンダードが確立されていないからなんでしょうね。

そんな中、ちょうど私のニーズにマッチしそうないい感じの本があったので、読んでみました。

 

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そもそも RPA って何?

その前に、RPA という言葉をまったく知らない方のために、「RPAとは何か」を簡単に説明してみたいと思います。

RPAというのは Robotic Process Automation の略で、直訳すると「ロボットによる業務の自動化」という意味になります。

ロボットというと、Softbank の Pepper くんとか、スターウォーズの あれ(名前忘れた)みたいな人型ロボット、または自動車工場ではたらく腕だけの組み立てロボットみたいな、実体のあるロボットをイメージする人が多いと思います。

でも、RPA でいう「ロボット」というのは、一般にコンピュータ上で動くプログラムのことを指します。

要するに、これまで人間が手作業でやっていたパソコン上の定型操作や事務的な作業を、コンピュータプログラムにやらせようという考え方、またはそのための技術やソフトウェアのことを RPA と言ってます。

 

もちろん これまでも、手作業や手入力をなくして自動化しようという取り組みは、無かったわけではありません。

ですが、ここ数年の間に、大規模データの処理・自動化・AIなどの技術が急速に成熟してきました。

それに加えて、働き方改革、少子高齢化による労働力不足への対策、ホワイトカラーの生産性向上などが強く求められるようになり、業務の効率化の必要性がかつてないほど高まっています。

こうした背景のなかで、「RPA」という目新しい言葉とともに、パソコン業務の自動化に大きな注目が集まっているんですね~。

 

ありそうで無かった「新技術のワクワクガイド」本

さて、本題の『RPAのはじめかた』という本は、その名の通りRPAの入門書です。

一応「技術書」にあたると思いますが、他の技術書とはだいぶ違った特徴を持っている本でした。

冒頭の「はじめに」に書かれているんですが、著者のカワサキタカシ氏はこの本の目的(ゴール)を次のように書いています。

 

この本のゴールは、「RPAの深い概念を知り、RPAツールのエキスパートになり、業務をグイグイと改善していくこと」では、ありません。

「RPAの世界のワクワク感」と、「RPAツールの美味しい部分(カンタンで、すぐ役に立つ部分)」を、なるべく美味しく「味見(体感)」して、『RPAを好きになること!』がゴールです。

 

つまり、まずは「役に立ちそうだな」「楽しそうだな」と思ってもらうことを目指して書かれています。そのために、実際のソフトの画面やイラストを多用し、取り上げる技術のレベルもあえてかなり低く設定しています。

特に特徴的なのはこの本の2章と3章です。

商用のRPAソフトウェアは基本的に企業向けのものであり、数十万から数百万円(!)するお高い製品のため、Word、Excel やC言語みたいに一般の読者が気軽にインストールして触ってみるわけにはいきません。

そこで2章と3章では、国内で使われている代表的かつわかりやすい商用RPAソフトウェアを2つ取り上げて、実際に操作してもらう代わりに、手順書形式で「どんな操作をすると、どんなことができるか」を具体的に見せてくれているんです。

「自分で試せないんじゃ意味がない」と感じる人もいるでしょうけど、イメージのわかない新しい技術に触れる第一歩としては、気軽に読める紙上デモ というスタイルはすごく有効だと感じましたし、面白かったです。「技術書にはこんなアプローチもあったのか!」と目からウロコでした。

 

この本は、単に紙上デモを読むだけの本ではありません。4章と5章では実際に無償で使えるRPAツールをインストールして、使ってみる手順の解説もちゃんと載ってるので、ご安心あれ^^

インストールのしかたから例題の操作まで1手1手細かく書いてあって、特に詳しい人でなくても ひととおりRPAの処理を動かす体験をすることができます。

書かれている自動処理は、電卓で計算した結果をExcelに張り付けるなど非常に初歩的なんですが、ソフトウェアやプログラミングに多少の心得がある人なら、自分で多少の応用をすることが可能なくらいの内容は含まれています。

いま現在、RPAツールの使い方を解説するまとまった本がほとんどない状態なので、初歩的とはいえこうした解説のある本は貴重ではないでしょうか。

 

というわけで、本書は「RPAの専門家でないけどRPAの世界に触れてみたい」という方に最適な、最初の一冊だと思います。

新しい技術は、やっぱり立ち上げ期がいちばんおもしろいです。興味のある方は、ぜひ今のうちにこの世界に触れてみてくださいね~

 

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