音楽

生々しい歌声と緻密なサウンドデザインが溶け合った名作です!『AINOU』by 中村佳穂

久々に心の底から「すごい!」と感じるミュージシャンに出会いました。

その名は中村佳穂(なかむら かほ)

去年にリリースされた2ndアルバム『AINOU』(アイノウ)を最近になって聴いたんですが、はっきり言って心が震えました。「こりゃすごい!」と。今日はそんなの中村佳穂の『AINOU』を紹介します。

 

AINOU by 中村佳穂
レーベル:SPACE SHOWER MUSIC
発売日:2018/11/7

 

中村佳穂は 1992年生まれ。京都出身のシンガーソングライターです。大学在学中の20歳ごろから本格的に音楽活動を始め、ピアノと歌を軸に さまざまなミュージシャンと共演を重ねながら、独自の表現を築きあげていきました。

彼女の音楽はまさにジャンルレスというか、ほかの何かにくくることが難しい独自の世界を描き出します。R&Bから耳なじみのいいポップス、前衛的なサウンドから民族音楽のような土着的な曲、さらにピアノ弾き語りの歌まで、バラエティ豊かな音楽が展開されます。

そのすべての核心部分にあり、アルバム全体にしっかりとした統一感を与えているのが、彼女の「うた」です。芯に力があって、言葉に気持ちががっちり落とし込まれている。時に愛らしく、時に情熱的に、またある時は苦しみやあきらめの気持ちを絞り出すように・・・どんな感情を歌っても、すべて彼女らしい表現として響かせてしまう説得力があるんですね〜

 

各曲ごとに違った表情を見せてくれるアルバム

というわけで、2ndアルバム『AINOU』です。収録曲はジャンルも雰囲気も実にさまざまです!

1曲目『You mau they』は、「有名税」をしゃれたタイトル。ソウルフルなヴォーカルが印象的なR&Bテイストの曲ですが、途中からビョークばりの前衛的な音が響いてきます。のっけから彼女の才気を感じます。

3曲目『きっとね!』もR&Bテイストですが、1曲目ともまた違った雰囲気で、個人的に初期の宇多田ヒカルっぽいなと思いました。ミュージックビデオも作られていて、中村佳穂らしき女性が登場するモダン&ポップなアニメーションです。

 

 

5曲目『永い言い訳』は打ってかわってピアノ弾き語りの歌。おそらくある男女の別れを歌っています。おそらく、というのは、歌詞があまり具体的な理由や事情を描写していないからです。

それなのに個々のフレーズ、たとえば「丁寧に生きてても見落としてしまいます」みたいな言葉が心にグサリと刺さります。すごいですね・・・こんな言葉、なかなか思いつけないです。中村佳穂は、音楽的な表現力だけでなくて言葉の選択眼も非常に鋭いものを感じます。

ラストの『AINOU』はまた大きく異なる雰囲気で、彼女が感銘を受けたというジェイムス・ブレイクを彷彿とさせます。重心低めの抑制されたビートに、彼女の歌声が絡み、心の奥底にひそむ激情をにおわせる曲がアルバムを締めます。ほんとに表現の引き出しが多い人です!

 

生命の鼓動が聴こえる奇跡のような一曲『そのいのち』

そして私がこのアルバムで一番心を打たれたのが、11曲目の『そのいのち』です!

まるでどこかの民族音楽のような土着的なビートに乗せて、ピアノと彼女のヴォーカルが躍動します。生命の輝きを高らかに賛美する歌声は 圧倒的なパワーと包容力に満ちて、神々しさすら感じます。

日本の古いわらべ歌か民謡のような不思議な響きの歌詞もとても面白くて、特に「いけいけ生きとし GO GO!」(笑)というリフレインは耳にこびりついて離れなくなること請け合いです。生きとし生ける者みんな、行け、行け! という感じでしょうか。この表現1つとっても、中村佳穂の個性が爆発してます。ふつう、絶対思いつけないですよ、これ 。

なんでも中村佳穂のお母さんは、奄美の出身だとか。この歌の独特の、人間の原初的な部分に訴えかける表現は、母親からインスピレーションを受けた部分が大きいんじゃないかなあと、私は勝手に想像してます^^

今日は疲れたな~とか、イヤなことがあったな~とか、そういうことがすごくちっぽけに感じてしまうようなこの曲を聴いて、私は不覚にも泣きそうになっちゃいました。私のなかで、一生耳から離れない永遠の名曲になりました。

ライブ映像が YouTube にあがっているので、ぜひ観てみてください。

 

 

というわけで、いま私が最もはまっている若手ミュージシャン、中村佳穂をご紹介しました!

(たぶん言葉だとうまく伝えられてないと思いますけどね・・^^;)

 

 

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