今日は、東京を拠点に活躍する注目の若手バンド、cero(セロ) の2ndアルバム、『My Lost City』を紹介します。
『My Lost City』
cero
2012年10月リリース
ceroは2004年に結成後、地道なインディーズ活動を続けてきて、2011年に1stアルバム『WORLD RECORD』で本格的にデビュー。今作が2枚目のアルバムになります。
バンド名のceroって、変わった響きですよね。
これは宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」の登場人物からとったそうですが、同時に Contemporary Exotica Rock Orchestra という意味も持たせているそうです。
彼らが所属しているインディーズ・レーベル、カクバリズムは個性的で実力派のアーティストが多数所属していることで有名ですが、ceroはいまやレーベルを代表するアーティストに育っています。
彼らの音楽の魅力を言葉で表わすのはひじょ~に難しいので、まずレーベル公式のアルバム発売予告映像を紹介しておきます。
使われている曲はアルバムの8曲目、バンド名をタイトルの一部に含んだ 『Contemporary Tokyo Cruise』 です。
いやあ、楽しいです!^^
ceroの大きな魅力はこのポップ感だと思いますが、親しみやすさの中にも一筋縄ではいかない面白さがあります。
彼らの曲は、Aメロ、Bメロ、サビ・・・といった型におさまりません。同じ曲の中で、テンポやリズム、表情を変幻自在に変えていきます。
使われている楽器や音色は本当にいろいろです。ドラムやギター、シンセだけでなく、スティール・パンやアコーディオン、ピアノなど、音とたわむれるかのように多彩なサウンドが飛び出してきます。
さらに、所々に歪んだギターを入れたり、ラップを入れたりということを、ごくごく自然にやっていたりする。
くるくると表情を変える楽曲が生み出す、日常と非日常の境界をただようような恍惚感と幸福感。これはまさに ビーチボーイズの名盤 『ペット・サウンズ』の現代版 と言えるんじゃないでしょうか。
いかにも自然体な雰囲気の若いあんちゃん達から、こんなに凝った極上のサウンドが聴けるとは、本当に驚きました。
そしてceroがうたう歌詞は、彼らが暮らす都会の日常のなにげない風景を元にしています。
そこに流れている、自由さ、楽しさ、そして時おり感じる寄るべなさ・・・
こうした感覚は、私が普段感じている気分に、おそろしいほど近いものです。
歌詞だけでなく彼らのサウンド全体が、そうした現代の都市の心象風景というか、ある種の「気分」を代表しているように思えてなりません。
その意味でceroは、まさに「いま」を鳴らすことのできるミュージシャンなのだと思います。
語たくは置いておいて(笑)、ここでもう1曲、彼らの曲を紹介しますね。
こちらは1stアルバムからの1曲、『大停電の夜に』です。
普段は真夜中でも明るく人手の絶えない東京の街。そこでもし大停電が起きたら・・・? そんな曲です。(ひとむかし前にそういう映画がありました。結構面白かった)
この曲がまた、歌詞やPVの内容をあまりにもうまく音に写しているんです。美しく、ほの暗く、幻想的な風景がありありと目にうかぶようです。
仕事や遊びの帰りに、一人で夜の街を歩きながらこの曲を聴くと、まわりの風景やそのときの気持ちにあまりにもピッタリはまるので、こわくなるほどです。私の大のお気に入りの曲の1つです。
ceroにはこれからも要注目ですよ!