少し前に、「うちらは陽気なアメリカ人」という記事
http://nerino.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-9941.html
の中で、固定観念や先入観が、差別の大きな原因になっているという話を書きました。
今回は、私が先日参加した講習会で聞いた話の中から、面白いなあと思った「問題」を2つ紹介します。
皆さんもちょっと考えてみてください。
<問題1>
ある腕利きの外科医が、大学病院に勤めていました。
ある日、たいへんな手術を無事成功させたその医者が控室に戻ると、看護師から緊急の連絡が入りました。
「先生、交通事故で大けがをした人が運ばれてきました。緊急のオペをお願いします。
事故にあったのは2人で、父親と息子さんのようです。
息子さんはまだ息がありますが、父親は即死だそうです・・・」
その医者は疲れた身体にムチを打ちながら、
「すぐ行きます!」
と応えると、急いで処置室に向かいました。
するとそこには、まだかろうじて息があるという男の子が横たえられていました。
しかしその子の顔を見たとき、医者は愕然としました。
なぜなら、その子は医者の息子だったからです!!
しかし、父親は確かに即死したとのこと。
一体どういうことでしょうか?
<問題2>
ある高層ビルのオフィスの一階にエレベーターが止まっています。
朝の出社時間で、エレベーターはほぼ満員です。
そして、扉がしまる直前に、もう1人、男の人が乗ってきました。
すると、「ビーーー!」と重量オーバーのブザーが鳴り響きました。
こういうときは、最後に乗った人が降りるのがマナーですが、その男性はブザーが鳴り続けているにも関わらず、まったく知らん顔。
まわりの人たちは、「朝で急いでるのに、なんて自分勝手な人だ!」とイライラ爆発寸前です。
しかし、この男性は決して自分勝手でマナーのない人ではありませんでした。
一体なぜ、彼はエレベーターを降りようとしなかったのでしょうか?
せっかくここまで読んでくださったんだから、以下の解答を見る前にちゃんと自分の頭で考えてくださいね(笑)
いいですか?
では、答えです。
問題1ですが、これは「腕利きの医者」は女性だったというのが正解です。
彼女が、急患は誰だと思って行ってみたら、かつぎこまれていたのが自分の息子だったので仰天したのです。
亡くなった男の子の父親とは、彼女の夫のことです。なので何も矛盾はありません。
この問題におけるポイントは、「医者」、特に「腕利きの」と言われると、かなりの人が「この人は男だ」と思いこんでしまうという点にあります。
私は以前にどこかでこの問題を聞いたことがあったので、正解できました。でも もしその研修の場で初めてこの問題を聞いたとしたら、やはり「医者=男性」と思い込んでいたもしれません。
先入観っていうのは根深いものだなと気付かせてくれる問題ですね。
ちなみに奥さんにこの問題を出したところ、
「死んだ父親というのは、実は奥さんの不倫相手で、
重傷の男の子の 実の父親はそいつだった」
という、完全に昼ドラ的な方向に考えが行ってしまったようです(笑) そういう人、結構いるんじゃないでしょうか。まあ、不正解とは言えないですけどね^^
続いて問題2ですが、これは男性の耳が不自由だった、ということです。
私は、この問題の答えには思い至りませんでした。
日常生活の中で、こうした思い込みを完全に排除することは不可能かもしれません。だけど少なくとも「今の時代、いろいろなバックグラウンドの人が一緒に暮らしている」ということを、常に頭の片隅に置いておきたいものです。
なにか自分の考えに合わない行動を見ただけで、すぐさまキレたり相容れないと決めつけたりすることは、避けたいものですね。