これまで花粉症になっても特に薬に頼らずガマンと根性で耐えてきた私ですが、今年は私の症状のひどさを見かねた奥さんが、薬局で薬を買ってきてくれました。
久光製薬のアレグラEXです。
つい最近発売されたばかりの薬で、テレビでもCMをやっています。
医療用成分配合、つまりこれまで病院で医師の診察を受けて処方せんを書いてもらわないと買えなかった薬と、同じ成分が入っていてよく効くらしいです。
そのかわり、買うためには薬剤師の説明を聞く必要があります。奥さんによると、薬局の棚にはパッケージの空箱(?)だけが置いてあって、それをカウンターへ持って行くと、薬剤師が説明をしたうえで中身を持ってきて売ってくれるのだそうです。
これ、確かに目に見えて効果がありました。くしゃみ鼻水が完全に止まるというわけにはいきませんでしたが、だいぶ楽になりました。
しかもありがたいことに眠くなりにくい。私の場合はまったく眠気の副作用は出なかったので、仕事のある日も普通に飲めました。
市販薬なんてどうせ・・・とばかにしていましたが、ちょっと見直しました。
ところで、私自身はこれまでドラッグストアで薬剤師の説明を受けてクスリを買ったことがありません。
単に棚に陳列されている薬から、自分で適当なものを選んでレジへ持っていって、お金を払っただけです。
だから、ドラッグストアの薬剤師なんて特に薬剤師らしい仕事をしていなくて、資格があるだけで楽していいお金をもらってズルい、などというイメージすら持っていました(笑)
だから、奥さんからアレグラEXを買う時に薬剤師に説明を受ける必要があったときいて、「へえ、そんな薬があるのか」と感心してしまいました。
そこで、薬剤師の説明が必要なのはどういう薬なのか、ちょっと調べてみたので、以下で結果を自分なりにまとめてみます(少しカタい話になります)
恥ずかしながら私はまったく知らなかったのですが、2009年に改正薬事法が施行されたそうです。
これはかなり大きな法改正だったようです。
これまでは、実はドラッグストアなどでの市販薬の販売方法に関して、あまり明確な取り決めがなかったそうですが、今回の改正で、市販薬の分類と販売方法が明確化されました。
現在の市販薬は、第1類から第3類までの分類が行なわれるようになっています。
第1類は副作用のリスクに対して特に注意を要するもので、第2類はリスクが比較的高いもの、第3類はリスクが比較的低いものです。
そして、第1類(アレグラEXがこれです)は買う側が特に希望しない場合でも、購入時に薬剤師による説明が義務付けられました。
これに対して第2類、第3類は、薬剤師による説明をするのが望ましいされていますが義務ではありません。そして、薬剤師でなくても一定の条件を満たす登録販売者ならば販売が可能になりました。
ではこの変更によって、世の中にどんな変化が起こるのでしょうか。
まず、第2類、第3類の取り扱いを「登録販売者」に拡大したことで、医薬品をコンビニやスーパーで販売する道が開けました。その結果、今はコンビニでも軽めの薬なら買えるようになっています。さらに2013年現在、これをさらに進めて、ネット販売を本格的に認めようという議論がされています。
また第1類という区分の登場によって、販売時のリスク管理がしっかりしたことを受け、医療用薬品の市販薬への転用(こういう薬品をスイッチOTCと言うらしい)を認める動きが進むと見られています。
このように消費者は、新しい薬事法によって、薬の選択肢が増えるというメリットが受けられるとされます。
ただ、薬事法の改正には別の大きなねらいがあるようです。それは国の医療費の抑制です。
まず直接的な話からいくと、病院の処方薬には健康保険が効きます。つまり国の出費が発生します。この出費は、市販薬では発生しません。だから市販薬の利用拡大は、国の出費を減らすことにつながります。
これ以外に、大局的な医療費抑制のねらいもあるようです。
今や国の借金は危険水域をとうに超えていますが、今なお年金・医療・介護関連の支出の増加に歯止めがかかりません。この問題への、重要な対策の方向性が「予防医療」です。
つまり、重大な病気になってから大がかりな治療すると、医療費もかかるし、効果も薄い。だからそもそも病気が起こりにくいように、国民自身が健康管理をしたり、病気の早期発見に努めていこう、ということです。
そうすれば、国民も健康でハッピー、国も支出をおさえられてハッピーの、ダブルハッピーになるというシナリオです(そう簡単にゃいかんでしょうけどね^^;)
この「国民が自分の健康を自分で守る」(=セルフ・メディケーション)ための環境整備の1つが、薬事法改正による市販薬の活用強化というわけです。
一時期話題になったメタボ検診もそうですが、今後もさまざまな施策がこの「予防医療」という軸に沿って行なわれていくだろうと思います。薬事法の改正は、そうした大きな流れの中に位置づけられる動きなのですね。勉強になりました・・・。