音楽

いっそう深まったaikoの恋愛観。でももう少し音楽的な冒険が欲しい!
『泡のような愛だった』 by aiko

愛だ恋だに関心が強かった大学生のころからaikoのファンを続けている私も、今や30半ばのオッサンです。

結婚して子どもができた今でも、そりゃまあ男なわけですから、きれいな女性や、若い女の子や、ボン・キュッ・ボン(死語)な女性を見ると「ええなあ」と思ったりします。でも、愛だ恋だと大騒ぎすることはまったくなくなりました(不倫になっちゃいますから~!)

そんな私は、恋愛のうた100%のaikoの歌詞に、最近ちょっと共感しきれなくなっている自分を感じます。

aiko自身、私より3つ上になるわけですが、いつまでもみずみずしい二十代ごろの感性で、恋愛にまつわるいろんな風景を鮮烈に表現し続けています。そういうaikoはスゴいと思うし、楽曲のひと筋縄ではいかないコード進行やリズム、歌詞の譜割りの強引さなんかも大好きです。

それだけに、彼女の恋愛ソングにあまり入り込めなくなっている自分のことを、自分でも少し寂しく感じたりするんですよね。

 

そんな永遠の恋愛ジャンキー aikoマンが今年、通算 11枚目になるオリジナルアルバムをリリースしました。

歌詞への共感度が下がったとか何とかいいつつも 結局aiko好きの私は、いつもどおり初回盤を購入しました。買ってからもう2か月になるので今さらではありますが、ひとこと感想を。

 


『泡のような愛だった』
aiko
ポニーキャニオン
2014年5月29日リリース

(初回盤)


(通常盤)

↑Amazonリンクあり

 

まず印象的なのは、最初の3曲のヘビーなロックチューン。ここで一気に畳みかけられます! aikoの声もやや荒っぽく大きくミックスされてて、最初の一声に少しドキリ。久々に初期のラフな手触りのaikoが帰ってきた感じがしました。

サッと聴くと気づかないかもしれませんが、今回のアルバムの1つの特徴として、シンプルなバンドサウンドへの指向があると思います。前回までのアルバムと比べて、トランペットなどのホーンを使った曲や、華美なストリングスアレンジをされた曲が明らかに減ってます。これは、重ねた年齢の成せる変化・・・なのかどうかはわかりませんが^^

サウンド的に私が一番「いいな」と思ったのは、11曲目の「大切な人」です。メロトロンが夢のような音の空間を作っているんですが、あまり今までのaikoになかった雰囲気のサウンドで面白いです。

歌詞については、やはり恋愛100%でいまの自分の興味とズレる部分はあるんですが、全般的に歌詞が描くシチュエーションが今までより複雑で、深みを増したように感じました。また、いままで以上に歌詞カードの文字数が多いです(笑)

「キスの息」「遊園地」など、整理のつかない気持ちを独特な比喩混じりにドロドロと吐き出す歌詞なんか、すごく秀逸です。昔のaikoにはこういう歌詞は書けなかったんじゃないかと思います。

恋愛は恋愛でも、酸いも甘いも数多く体験してきたであろうaikoの厚みをもった恋愛観が、今回は冴えわたっている感じがします。

 

1つ注文をつけるとすれば、もう少し音楽面で冒険してほしいってことですかね~。

上でも書いたけれど、今までのアルバムと少しちがうところは、あることはあります。ただ、パッと聴いた印象はやっぱりここ最近の何作かのアルバムととっても似てますね。

どこをどう聴いてもaikoらしい、よく練り込まれたポップス・・・ではあるんだけど、悪く言うと「いつもと同じ」「どこかで聴いた」という感覚がどうしても残ります。ファンでなければ特にそう感じちゃうでしょう。

もちろん、「変わらない」ということは必ずしも悪いことではなくて、むしろaikoの表現が常に一貫していて、自分に正直にしていることの証拠と言えるかもしれません。また、同じテイストを維持することを望むファンも多いでしょう。

ただ、才能豊かなaikoならもっといろんな引き出しを持ってるはずだと私は思うんですよ。そこをぜひ出しちゃってよ、って思ってしまうのは贅沢なリクエストなんでしょうかね。

特にアレンジが固定化しちゃってる感じがするんだよな~。いつもの島田さん以外の人をフィーチャーしても面白いと思うんですけど・・・。

まあ、なんだかんだ言って次のアルバムも買っちゃうでしょうけどね。

 

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