先日書いたとおり、いままで車を持ってこなかった完全ペーパードライバーの私ですが、このたび車を譲って頂くことになりました。
そこで、さっそくこんな本を読んでみました。
『決定版・徳大寺有恒のクルマ運転術』
著者: 徳大寺有恒
出版: 草思社
初版: 2005年10月7日
この本を奥さんに見せたら、 「あなたは何でも本から入るのね」 と突っ込まれました。
実践をおろそかにする気は全く無いけれど、私は本マニアなので、気になるテーマの本はどうしても読まずにいられないのです(笑)
さて、この本の著者である徳大寺有恒氏は、かつて日本グランプリにも出場した元レーサーです。
現在も自動車ジャーナリストとして、運転術や車の選び方に関する執筆活動を続けている、自動車の達人です。
この本の表紙を見ると、著者の写真がまず目にとまります。
まるで勝新太郎のような迫力のある表情の写真! しかもお名前からしてずいぶん重厚な響きです・・・。
第一印象は、正直、怖そうな人だなというものでした^^;
私は勝手にこんなふうに想像していました。
「この本には、きっと 峠の攻め方 や ドリフトの仕方 、
警察の振り切り方(笑)などが書いてあるのかな」
ところが、本の内容は全く違いました。
まえがきに、こんなふうに書かれています。
「より多くの人に知ってもらいたいのは、思慮深くドライブすれば、
危険は大いに軽減し、さらに運転そのものが楽しくなると
いうことである。
それはいわゆる『ドラテク』(高度な運転テクニック)とは
関係がない」
「運転のうまい、下手は、この「考える」ことにかかっている。
もし、あなたが自分の運転が下手だと思うなら、それは考えて
ドライブしていないからだ」
「大事なのは、事故を起こさず、巻き込まれず、スムーズに
楽しいドライブをおこなうことだ」
著者は車の性能を極限まで引き出す、高度な運転テクニックを持っています。
しかし普段のドライブではそれを封印し、頭を使って安全に、快適に、楽しく運転することを実践しているそうです。
そして、頭を使ってスムーズに運転するということこそが、運転の楽しみだと言います。
徳大寺氏が説く運転術は、奇をてらわない、とてもオーソドックスなものだと思います。
でも、初心者が不安に思う点やうっかり見落としがちなポイントを、これでもかとばかりに丁寧に取り上げています。普通のドライバーが、すぐにでも実践できるような事柄ばかりです。
運転に自信のないペーパードライバーには、まさにうってつけの一冊なんじゃないでしょうか。私もこの一冊を読んだだけで、運転できそうだという自信がついてきました(我ながら、影響されやすい奴・・・ ^^;)
ちなみに私が特に面白いと思ったのは、「運転は他車(や歩行者)とのコミュニケーションである」 というくだりです。
事故に遭うのは、往々にして相手の意図(歩行者が横断しようとしている、前の車が右折しようとしている、etc.)を察することができていないから。
そして、自分の意図を的確に伝えていなかったり(いきなり車線変更するとか、曲がると見せかけてやめるとか)するから。
このように、少しアタマと注意力を使って、コミュニケーションを適切に行うことで、事故はほとんど防げると言います。
この本にいいところは、個別の具体的な運転方法(駐車、山道、高速道路、・・・)だけでなく、安全運転に関する基本的な考え方やマインドについて、しっかり書かれていることです。
先を読み、事実をきちんと確認し、相手の意図を読んでこちらの意図をはっきり伝えることが大事・・・ということですが、これはもはや人生そのものに関する教訓という感じですね。うーん、運転っていうのは深いです(笑)
というわけで、自分の運転技術を見なおしたいという方には、自信をもっておススメしたい一冊です。