仕事・ビジネス 最近読んだ本

不覚にも感動・・・! 物語風ビジネス書の傑作
『人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた』

8月中旬までの暑さはどこへやら、ここ2~3週間はずいぶん涼しくて雨ばかりの毎日が続いてますね。いよいよ秋到来。読書にいい季節がやってきます。

というわけでワタクシ、久しぶりに自己啓発系のビジネス書を読みました。

これが想像を超える面白さだったので紹介します:

 

『人生で大切なことはすべてプラスドライバーが教えてくれた』
著者: 原マサヒコ
出版社: 経済界
初版: 2010年3月25日

 

なんでこの本を読んだかというと、先日会社の研修で著者の原マサヒコ氏の講演を生で聴く機会があったからなんです。

原マサヒコ氏はもともとトヨタ系のディーラーでクルマの修理を担当するメカニックとして活躍し、トヨタ社内のメカニックの技能コンクールで若くしてトップを獲得した方。

仕事の過程でトヨタ式のカイゼン(業務改善)の考え方を身につけ、その経験をもとに異業種での業務改善や経営戦略に関するコンサルタントに転向して活躍されてます。

私が受講した研修のテーマも、トヨタ式のカイゼンの考え方をふだんの仕事に活かしてみよう、という内容のものでした。

研修の時間が短くて消化不良だったため、一度 著書をちゃんと読んでみようと思ってこの本を手にとったというわけです。

 

この『プラスドライバー』本は、物語を通して仕事や人生に役立つ気づきを与えてくれるタイプのビジネス書です。

実はこの本が出る前年、とあるビジネス書が大ヒットを飛ばし、ドラマになるなどたいへんな話題になりました。

そう、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら 』、通称『もしドラ』です。

お気づきのようにこの『プラスドライバー』本、基本的な路線が『もしドラ』とそっくりなんです。物語形式で仕事や人生のヒントを与えるというコンセプトはまったく同じ。

おまけに表紙の萌え系っぽいイラストで読者を集めようという戦略まで同じです。ただ、『もしドラ』の場合は実際に物語の主人公が女子高生なわけですが、『プラスドライバー』のほうは物語に女性メカニックなど一切登場しないんですよ。ズルいじゃないっすか、コレ!?(笑)

これらを考えると、「ああ、二匹目のドジョウを狙ったイロモノ企画ね」と思いたくもなります。私もこの本を読むまでは そういう冷めたイメージを持ってました。

 

ところが実際に読んでみたところ・・・

面白い! 面白すぎる! 

しかも、

不覚にも感動して泣いてしまいました!(苦笑)

 

物語の主人公はかつて「ダメ男」でした。学生時代、学業も人付き合いもうまくいかず、親に勘当までされてしまいます。

人生のどん底状態に落ち込んだ彼は、運よく就職したトヨタのディーラーで数々の苦労を重ねながらも、大きな学びを得ていきます。特に、技術的にも人間的にも優れた一人の先輩(石田さん)との出会いが、彼に決定的な影響を与えます。

実はこのお話は、著者の原マサヒコ氏の実体験に基づいた私小説的な作品になっているんです。つまり 主人公 = 原氏 というわけ。実話を元にしているだけあって、エピソードの1つ1つがリアルで真に迫っており、面白い。

とにかく文章や表現がスムーズで上手なことに驚きました。『もしドラ』は随所にたどたどしい表現があって興ざめしたりしましたが、こちらはゴーストライターが書いてるんじゃないかと思うくらい(笑)、小説としてよく書けてます。また、変に主人公に感情移入し過ぎたり、格好つけたりすることもないため、読んでいて素直に主人公に共感しました。

物語の随所に 仕事や生き方に関する教訓が出てきますが、「車の仕組みやメンテナンスに関して学んだことが、実は単なる技術的知識じゃなくて、そのまま人生全般に通じる原理になっている」という話の持って行き方がまたうまい。

主人公が尊敬する先輩の石田さんが語る次の言葉は、まったくその通りだなと思います:

どんな小さなことでもいいから、何かを目指せ。  何かを目指すその過程で、学べ。  学びを続けて、人間として大きくなれ。  どんな人からも、どんな物からも学ぶことはあるはずだ

 

物語形式のビジネス書は何冊か読みましたが、この『プラスドライバー』本はその中でも1,2を争う傑作だと思います。

社会人になって日が浅く仕事の壁にぶつかっている若い方は、クルマ業界にいる・いないに関わらずオススメです。もちろん、クルマに興味のある人(マニアには物足りないでしょうが)であればなおさら面白く読めると思います。

 

PR

-仕事・ビジネス, 最近読んだ本