今週の1曲は、ロッド・スチュワート(Rod Stewart)の『パープル・ヘザー(Purple Heather)』という曲です。
ロッド・スチュワートは活動歴50年になろうかというイギリスの大御所ロック・スター。全英一位に輝いた『セイリング(Sailing)』という曲が、日本でもかなりヒットしました。
この 『セイリング』 は私が中学生の頃(たぶん)にテレビのCMでよく流れていたし、ちょっと切なげで親しみやすいメロディーが印象的だったので、強く記憶に残っています。なので当時の私は、「ロッド=ポップシンガー」 あるいは 「ロッド=セイリングの一発屋」などというイメージすら持っていたほどです(笑)
ただ、彼はもともとブルース・ロック寄りのけっこうコアな音楽をやっていた人なんですよね。私は彼の音楽の熱心なリスナーというわけではなくて、実は実際に初期の曲を聴いたことがないんですが、「あのハスキーボイスはブルージーな曲にすごくあってるよなあ」と思います。
さて、『パープル・ヘザー』 ですが、これもポップ路線のロッド・スチュワートの魅力が現れた曲です。
この 『パープル・ヘザー(Purple Heather)』 という曲は、ロッド・スチュワートのオリジナルではなく、実は19世紀スコットランド起源の曲なんです。
ちなみにスコットランドやアイルランドの伝承歌(バラッド)は、同じ曲だけど違ったタイトルになっていたり、歌詞が微妙に違っていたりという曲が多くて、この 『パープル・ヘザー』 も 『Will You Go, Lassie Go』 とか 『Wild Montain Tyme』 という曲名で呼ばれることもあります。
私はアイルランドとかスコットランドの伝統音楽が大好きで、その関係でこの曲も昔から知っていました。そんなわけで、ロッド・スチュワートのこのカバー・バージョンを知り、好きになったんです。
広大なスコットランドの草原が目に浮かぶような、悠然とした、どこか懐かしいサウンドにのせて、ロッドのあのハスキー・ボイスが 渋い味わいたっぷりに歌いあげます。のびのびとした歌声、後半の美しいコーラスがとにかく素晴らしく、つい何度も聞き返したくなります。
この曲が収録されているのは、ロッドが名曲の数々をカバーしたアルバム 『A Spanner in the Works』(邦題:ユア・ザ・スター) ですが、『パープル・ヘザー』はその一番最後に収録されています。
ロッド・スチュワートは、スコットランド系のイギリス人。だから、この曲には何らかの特別な思い入れがあって、それでアルバムのトリの一曲に選んだんじゃないかな、と思います(単なる想像ですが)
『ユザ・ザ・スター』 by ロッド・スチュワート
ちなみに余談っぽくなりますが、このアルバムの原盤では最後の曲が 『パープル・ヘザー』 になっていて、アルバムの最後を美しく締めてくれます。
ところが日本国内盤ではボーナストラックとして、その後に 『セイリング』 が収録されているんですね。正直な話、私はこの曲を入れないでほしかった(^^; 原盤とアルバムのコンセプトが変わってしまうと思うし、とりあえずヒット曲を追加しておけば売れるだろうという売り手の安易さを感じてしまうので。
まあ、曲単位でダウンロード購入するのが常識の今の時代に、アルバム全体のコンセプトがどうだとか言うのは、古い音楽ファンの意見なのかもしれないですけどね~。