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京大・山中教授のノーベル賞のすごさ

IPS細胞の研究で世界的に有名な、京都大学の山中伸弥教授が、ノーベル医学・生理学賞を受賞しました!

夕方に速報が流れて以来、各局のニュースがこの話題で持ち切りになってますね。

受賞理由になっている研究成果が6年くらい前に発表されたときも、大きな成果として話題になったので、そのうちノーベル賞を取ることは間違いないと思っていましたが、かなり早かったなという印象です。

最近のノーベル賞受賞者は、数十年前の業績が今認められて受賞、ということが多いようですから。

ともあれ、科学者にあこがれた(そして撃沈した。苦笑) 自分にとって、すごく嬉しい、ワクワクさせられるニュースです。

 

ではこのIPS細胞とは、いったい何がすごいのか。

私はIPS細胞の詳しいことは知りませんが、調べた知識を自分なりにまとめてみたいと思います。正確な情報については、他の信頼できるサイトを見てください(笑)

IPS細胞(Induced Pluripotent Stem cells)とは、適切な条件のもとで培養することで、からだのあらゆる臓器に変化させることができる細胞です。

臓器を再生する医療や、薬の研究開発などに役立つとされ、ここ数年、大きな注目を集めています。

実は山中教授らによってIPS細胞が作製される以前にも、こうした様々な臓器に化ける「万能細胞」は発見されていました。

しかし、それは生物の受精卵から作るものでした(ES細胞)。

受精卵は、正常に成長すれば立派な生き物になる細胞であって、生物そのものとさえ言えるものです。

だから受精卵に手を加えることに関して、倫理的に問題だとする意見も多く、ES細胞の研究はなかなかスムーズにすすまない状況にありました(特に日本では)。

しかしIPS細胞は、皮膚など、生殖細胞と関係ない細胞から作ることができるため、倫理上の問題が起きにくいのです。これが、ES細胞などと比べてIPS細胞が注目される最大の理由ではないかと思います。

(もちろん、生命の根源に関わる技術である以上、今後研究が進めばどこかで必ず、倫理的な線引きの問題が表面化してくるはずですが)

またIPS細胞を用いると、患者自身の皮膚などの細胞から目的の臓器を作ることで、副作用の少ない臓器の作製・移植が可能になるのでは、と期待されているようです。

 

ところで、山中教授の独創的な研究内容自体がすごいのは間違いないですが、それ以外に私がすごいなあと思うことがあります。

それは、IPS細胞の研究を世界レベルに保って推進するために、国に協力を要請したり、新しく創設されたIPS細胞研究センターの所長となって100名を優に超えるだろう研究者を束ねるなど、大きな動き作りとマネジメントを引き受け、それに成功していることです。

こうした大きい動きを取るためには、狭い研究分野のプロフェッショナルであるだけでは明らかに不十分です。

戦略的な特許取得、臨床試験のための法律の整備が不可欠なこの分野では、大学や国を巻き込んで大きな事を動かさなくてはいけません。

また研究するにあたって国際的な協力は必要ですが、海外の競合グループに負けないようにタフに賢く立ちまわらなくてはいけないでしょう。

それぞれに関心のあるテーマがあり、能力も高ければプライドも高い研究者をまとめるということ自体も、大変なことだと思います。

こういった諸々のことを、速いスピードで研究が進むこの分野で、スピード感を持って決断・実行していかなくてはいけない。

このヘビーな仕事には、強いリーダーシップ、発信力、交渉力が必要です。完全に、経営者的な素質が必要に違いないと思います。

山中教授は、学生時代にラグビーに明け暮れたそうですが、そこで育んだチームワークや判断力というのが、大研究グループのリーダーとしての活躍につながっているのかもしれません。

 

ちなみに50歳でのノーベル賞受賞は、歴代4位の若さだとか。まだまだこれから活躍されることでしょう。

これからしばらく、マスコミから騒ぎたてられて大変だと思いますが、くだらないインタビューなどは適当にあしらいながら(笑)、本業の研究でがんばってほしいです。

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