今日は久しぶりに、クラシックのお気に入りの曲を紹介しますね。
私はクラシックの曲のジャンルで一番好きなのは、やっぱり「ピアノ協奏曲」です。なぜかというと、大好きなピアノの音色と、オーケストラの鮮やかな音が一度に楽しめるから。
だからピアノ協奏曲に関しては、有名な作曲家からそうでない作曲家まで、いろんな人の作品を聞いてきました。
その中でベスト5に入るお気に入りの一曲が、20世紀初頭に活躍したフランス(バスク人)の作曲家、モーリス・ラヴェルの『ピアノ協奏曲ト長調』です。
この曲は、ラヴェルらしい繊細なピアノの旋律と華麗なオーケストレーションが混じり合う、変化に富んだ面白い曲になってます。
「ピシャリ!」というムチの音で始まって、ジャズの要素を交えてリズミカルに展開する第一楽章、そしてこれまた勢いにのって軽やかにかけ抜けるような第三楽章も楽しいのですが、この曲の一番の聴きどころはやっぱり第二楽章なんじゃないでしょうか。
第一楽章がダイナミックに終わりを迎え、つづく第二楽章に入ったとたん、うって変わってゆったりとしたテンポでピアノが3拍子のリズムを静かに刻み始めます。
そこから2分近くピアノが独奏したあと、クラリネットと弦楽器が加わって来た瞬間、なんともはかなく美しい音が広い空間に一気に流れ出すような感覚を受けます。
ピアノは、低音域の左手で終始一定のテンポを保ちながら三拍子のリズムを刻み続け、右手が過度に感情的になったり、超絶技巧をひけらかしたりすることなく、オケと溶け合うように繊細な旋律をつむぎ出していく。もう、ため息がでるほどの美しさなのです。
この曲を知らない方は、ぜひこの下にある実際の演奏を聴いてみてください。
美麗なルックスでも有名な(^^;)フランスのピアニスト、エレーネ・グリモーが、ベルリンフィルをバックに演奏した映像です。
私のイチオシの第二楽章は9分30秒くらいから。う~ん、何度聴いても美しいです。
第一楽章の コロコロと雰囲気が変わる忙しい曲調に対して、第二楽章の 一定テンポでジワジワと来る感じは好対照。ほんとに同じ曲なのかと思ってしまうほどです。そのギャップがまたたまりません。
これだけ美しくて、クラシックっぽい親しみにくさもあまりない曲だから、もっとCMとかで耳にしてもいいと思うんですが、テレビで耳にした覚えは無いですねぇ・・・残念です。
グリモーの演奏にはアクやクセが少なく、曲によっては淡白過ぎる印象を受けたりするんですが、そんな彼女の個性が このガラス細工のように透明な印象の第二楽章にピッタリはまっていて、素晴らしいです。
グリモーの演奏は、下のCDでも聴けます。(オケは違いますが)
ワーナークラシックの廉価版ベストに入っているので、たったの1000円とお買い得です(笑)
ちなみに、このCDにカップリングされているガーシュウィンのピアノ協奏曲も私が大好きな曲なんですが、それはまたの機会に書きたいと思います。
『ラヴェル&ガーシュウィン ピアノ協奏曲』
デイヴィッド・ジンマン (cond.)、エレーヌ・グリモー (p), ボルティモア交響楽団
1997年録音
ワーナークラシック