音楽

ブラジルの風が吹き抜ける、底抜けに心地いい名演: 『Voce e Linda』 by カエターノ・ヴェローゾ

サッカーワールドカップのブラジル大会、今日でグループリーグが終了です。

時差の関係でじっくり腰を据えて見られないのは残念ですが、毎朝出勤時間帯の試合(の一部)と、帰ってきてからのNHKのダイジェストは、ほぼ観てます。

たぶん、サッカーが大好きない人にとってはたまらない日々が続いてることでしょう。

一方、サッカーが嫌いな人にとってはたいそうウザい日々じゃないかと思いますが(笑)

 

というわけで、今回はワールドカップ開催記念ということで、ブラジルポピュラーミュージック界の生ける伝説とも言える男、カエターノ・ヴェローゾの名演をご紹介します!

彼のオリジナル曲『Voce e Linda』(きみは美しい) で、2012年の映像です。最高ですよ!

 

 

御年70にしてこの艶のある歌声と知的なカッコ良さ! 私もカエターノみたいに歳を重ねたい、なんて思っちゃいます。

カエターノはアルバムによっては比較的とっつきにくい表現をやってたりしますが、この曲、この演奏に関しては、そんな要素はまったく見当たらないです。

ただただ穏やかで美しい。

私はブラジルには行ったことがないですが、現地ではきっとこんなイメージの風が吹いてくるんじゃないかと思ってしまいます。

まさに夏にピッタリの曲ですよね。

 

カエターノ・ヴェローゾは、ブラジルのポピュラーミュージック界を引っ張ってきた革命児の1人です。70歳の御大にたいして革命「児」というのも変ですけど(笑)

カエターノは、1960年代後半にボサノヴァ歌手として音楽活動を始めたんですね。

だけど彼も、当時世界を熱狂させたロックやヒッピーのムーブメントから、ものすごい影響を受けた・・・

そして次第に、ボサノヴァなどのブラジルに根付く音楽に ロックのエッセンスを混ぜ合わせた、革新的で批評性の強い作品を産み出すようになります。

こうしたブラジルの新しいロック・ポピュラーミュージックの動きは「トロピカリーア」とか「トロピカリズモ」と呼ばれました。カエターノはその主導者的な存在でした。

そんな、ロックに強く影響されたカエターノらの音楽は、やはり反体制的な色が濃かった。

当時のブラジルは抑圧的な軍事政権が牛耳っていて、それに楯突くような表現をするカエターノたちは当然、政権側からは嫌われるわけですね。1968年には、逮捕・国外追放なんていう仕打ちにもあっています。

それでも彼の表現意欲が衰えることはなく、歳を重ねていってもなお刺激的な作品を作り出し続けました。70歳を超えた今もなお活躍しつづけるイカしたおじさま(おじいさま?)なんです。

 

先ほどのライブ映像は、カエターノとともに国外追放になったことのある盟友ジルベルト・ジル(右端の男性ね)、若手の女性ミュージシャンのイヴェーチ・サンガーロと組んだスペシャルライブ。

彼らが交互にリード・ヴォーカルをとって、バックのやわらかな演奏に乗せて聴かせてくれる音楽は、今回紹介した『Vice e Linda』に限らず、「最高」というか「至高」(同じか。笑)としか言いようがないです。

もう、いつまでもこの音色に包まれていたくなります・・・

 

 

今回紹介した曲を収録したライブアルバム
(Amazonへのリンク付き)


『Especial Ivete Gil & Caetano』 (輸入盤)
Universal / Wrasse
2012年7月1日リリース

PR

-音楽