私は音楽が一番の趣味なので、好きなミュージシャンといったらほんとにたくさんいますが、その中で間違いなくベスト5に入るのが「キリンジ」です。
キリンジは、1998年にメジャーデビューした、兄・堀込高樹と弟・堀込泰行の兄弟デュオです。世間的にあんまり有名じゃないと思いますが、音楽が好きな人なら名前くらいは知っている、という感じの存在だと思います。
親しみやすいのに深くて一筋縄でいかないコード進行やハーモニーで、ミュージシャンの中でもファンが多いとよく言われます。
私もサウンド自体が大好きですが、それに加えて深読みの余地ありまくりの歌詞が大好きなんです。もうかれこれ10年以上のファンです。
さて、そんなキリンジが、5月30日に配信限定のニューシングル「祈れ呪うな」を発売したので、今頃になってやっと買ってみました。
これがまた、なんというか、一筋縄でいかない曲でした。
レコード会社によるYoutubeアップ映像:
http://www.youtube.com/watch?v=TPidmpRP8Bo
サウンドは最近のキリンジとまたちょっと違った印象で、バンドっぽいジャム感があって、イイ感じです。
ただ、サウンドよりもずっと気になったのが、歌詞です。
UTA-NET掲載の歌詞
http://www.uta-net.com/song/130395/
キリンジはニュースや時事ネタを直接的に歌詞にすることはほとんどなかったんですが、今回は明らかに原発事故をテーマにしています。
一聴して、あまりにストレートに原発事故という歌いにくいテーマを扱っていることに、驚きました。やっぱりキリンジはいつも期待を裏切ってくれます。
しかも、最初は原発反対ということを歌っているんだろうと思い込んでいましたが、よくよく聴いてみると、この歌は原発への賛成・反対どちらの立場も取っていないんですね。
1番の歌詞では原発に恐怖を感じ、反対する立場から歌われます。
しかし2番では一転して、推進派の言い分が比ゆ的に描写されます。
そして曲の最後で、このように意見が騒がしく対立する状態が「千年に一度の祝祭」とたとえられます。
私が思うにこの曲は、「原発反対!」「原発容認!」という主張がはげしくぶつかりあうばかりで結論が出ず、右往左往し続ける日本の現状を皮肉たっぷりに描きだして見せているのだと思います。
反対派も推進派も、ともすると相手を否定し自分の正しさを主張することに熱中してしまい、未来をどうするかを本当の意味で話し合えていないんじゃないか。
冷静な議論ができず、滑稽なけんかを繰り返していないか。
そう冷水を浴びせかけているかのようです。
こういうタイプのメッセージソングもあっていいし、あってしかるべきだけど、他で聴いたことがありません。
キリンジだからこそ、また原発事故から1年経ったいまだからこそ歌うことができた曲だと思います。
というわけで、久々に歌詞とにらめっこしながら繰り返し聴いてしまった一曲です。
やっぱキリンジは深いわぁ・・・