今日の日経新聞の1面に気になるニュースがありました。
ビクター、エイベックス、ワーナー、EMIなどの国内大手レコード会社が、音楽配信のコピー制限を年内に完全撤廃するというものです。
音楽のダウンロード販売が始まった当初は、違法なコピーやファイル交換を禁止するために、購入した楽曲ファイルに対してDRM(Digital Rights Management)と呼ばれるコピー制限がかかっているのが普通でした。
このため、たとえ楽曲を購入した本人が合法的に利用する場合であっても、楽曲ファイルのコピー回数に制限があったり、AppleのiTunes Store で購入した楽曲が他社製の音楽再生端末(ソニーのウォークマンとか)で再生できないなどの不便さがありました。
その後、消費者の権利を重視する世の中の流れから、次第に楽曲がDRMフリー化、つまりコピー制限解除の方向にむかいました。
確か2009年には、欧米のiTunes Music Store ではDRMフリーの楽曲販売が標準になっていたと記憶しています。
しかし日本では、音楽業界の権利関係がとても複雑で、レコード会社の反発が激しかったことから、DRMフリー楽曲はごくごく限られたものしか売られていませんでした。
私はそれがイヤだったので、コピー制限のかかった配信楽曲はこれまでほとんど購入してきませんでした。
けれど、2012年(今年)の2月、日本のiTunes Storeの楽曲が基本的にDRMフリーで提供されることに、突然変わりました。
あまりにコッソリと変わったので、知らなかった人も多いみたいですね(私もそうでした)。
そしてそれに続くかたちで、他の配信サービスを通じて販売される音楽ファイルについても、(一部のレコード会社を除いて)年内にコピー制限が廃止される、というのが今日のニュースでした。
国内もとうとう、DRMフリーが標準になるということです。
これは大きい!
いち音楽ファンの私としては大歓迎です。
私はいままでコピー制限を嫌って、配信サービスを利用しませんでした。
けれどDRMフリーということになれば、今までよりも配信で曲を購入することが間違いなく増えると思います。
ちなみに、コピー自由になったからコッソリ違法コピーをできるようになった、と考えるのは早計です。
コピー可能になったといっても、ファイルの中には購入者を特定するコードが埋め込まれるので、妙なところにファイルをアップしたり流通させたりすれば、比較的簡単にバレるかたちになっています。
っていうか、バレるバレないに関係なく、違法なコピーはダメですけどね(笑)
ところで話は少しズレるかもしれませんが、最近はYoutubeで、古今東西、あらゆるジャンルの楽曲が視聴できるようになりましたよね。
著作権的にOKなものからグレーなものまで、いろいろですけど。
また、最近はdmm.comやTSUTAYA DISCASといった、便利で安い宅配レンタルサービスが普及してきました。
おかげで、買うほどではないけれども気になるというCDを手軽にチェックできるようになりました。
さらに中古CDも、街中の中古CD屋ではとても見つからないようなレアものが、Amazonのマーケットプレイスや、オークションで簡単に手に入るようになりました。
これはまさにネットの恩恵であり、音楽ファンにとってはとてもありがたいことです!
しかし・・・同時にすごく思うのです。
こういうサービスの普及によって新作音楽ソフトの販売は減り続けていますし、レンタルや中古販売による著作権者への直接の利益配分はほとんどありません。
それって本当に健全なことなのだろうか?
時代の流れという一言で片付けていいのだろうか?
ネット上のサービスには、消費者にとっても、表現者にとってもメリットがたくさんあるのは間違いありません。
ですが、新しい表現を生み出す活動というのは、それはそれは大変なものです。
その成果を、相応の敬意や対価を払わずに享受する、行き過ぎた「フリー礼賛」的な考え方が広まっていないでしょうか。
もしそうだとすれば、長い目で見たときに創作文化の衰退を招く可能性があると思います。
今回のDRMフリー化をきっかけに音楽配信が盛んになり、CD販売とはまた違ったかたちで、製作者への利益還元の仕組みがうまく回っていけばいいなあと思います。
ちなみにかく言う私も、Youtubeや宅配レンタルやオンライン中古販売を利用してます。
でも、好きなミュージシャンのCDや気に入った新曲には、賛成票の意味をこめて積極的にお金(余裕はありませんけど^^;)を使っていきたいと思ってます。