電気系エンジニアである私は、電波に関係する仕事をすることがあります。
電波という技術分野は、どの周波数をどの用途・事業者に割り当てるかとか、出していい電波の強さをいくつに制限するかなど、法律的・行政的な取り組みがいろいろと必要になる分野です。そうした「電波行政」は、総務省というお役所が担当しています。
そんなわけで、私はたまに総務省のページを見て、技術的な情報をチェックすることがあります。
先日、総務省のページを眺めて初めて知ったことが1つあります。
それは、今年9月に実施予定の第20回国勢調査が、初めてオンライン回答を本格的に取り入れたものになるとういことです。
皆さんはご存じでしたか?
念のためですけど、「国勢調査(センサス)」というのは、日本に住むすべての人を対象として 国が5年に1度実施する、基本的な統計調査のことです。
尋ねられる項目は、人口、性別、年齢、勤務地、世帯員数、住居の種類などで、日本という国と社会構造に関する基本的な状況を知るためのとても重要な調査です。
前回2010年までの国勢調査では、対象者がアンケート用紙に回答して、指定の場所に郵送するか、調査員とよばれる地域の取りまとめの人に渡すという、とってもアナログな方法が取られていました。
ところが今回の国勢調査から、パソコン、タブレット端末、スマホなどの各種コンピュータから、24時間好きなときに回答できるようになるのだそうです。
総務省は2015年国勢調査の啓蒙ページを既にオープンさせていますが、トップページから「スマート国勢調査!」というキャッチフレーズで、オンライン調査を行う旨を大々的に告知しています:
国勢調査2015キャンペーンサイト http://kokusei2015.stat.go.jp/index.html
公式ページの、インターネット回答に関するねらいの説明を見てみましょう:
平成27年国勢調査においては、情報通信技術(ICT)の更なる進展の状況を踏まえ、調査手法を進化させ、正確かつ効率的な統計の作成を行うとともに、国民の負担軽減・利便性の向上を図る等の観点から、我が国で初めて全世帯を対象として、オンライン調査を実施します。インターネットによる回答数は1千万世帯を超えるものと想定しており、世界最大級の規模となります。更に、スマートフォンからも回答できます。
(国勢調査2015キャンペーンサイトより http://kokusei2015.stat.go.jp/internet/challenge.html)
なるほど、利便性、負担軽減などのメリットを期待してるんですね。世界最大級のオンライン調査になるというのが、面白いです。
今回のスマート国勢調査で、私が一番「おおっ!」と思ったのは、「オンラインでもできますよ」ではなく、オンラインが推奨であるという点です。
どういうことかと言うと、今回の国勢調査では、まず最初にオンライン回答期間が設けられます(9/10~9/20)。そして、その期間に回答がなかった人にだけに紙の調査票が配られる、という方法を取るのだそうです。
要するにこれって、「インターネット接続の環境、それを使えるスキルを持っている人がほとんどである」と国が公に認めたようなものですよね。
公の投票・調査のたぐいをオンライン化しようとすると、ネット接続環境やスキルがない方からまだまだ批判や反感が根強く出そうな気がしますが、それでも実施に踏み切ったというのを聞いて、「ああ、時代が変わったんだなあ」としみじみ感じてしまいました。
これを見ている方は、当然ながらネットにつなぐ環境もスキルもお持ちだと思うんで、ぜひ日本初のオンライン回答に積極的に協力してみてくださいね。